西欧貴族に愛された有田焼

「花は桜木人は武士」とは日本人の人生観だったが、今やその様な潔い生き方をする人は殆どなく個人主義が蔓延っています。
士魂が残っていた明治には「武士道」を新渡戸稲造によって著されるくらいに恥も知り、誇りもあったのだと思われます。
この揃いの紅茶碗皿は明治8年香蘭社が寄り合い世帯で設立された名残が垣間見られます。
蘭のマークに深川と高台銘が記されています。
明治9年のフィラデルフィア万国博覧会か、明治11年のパリの万博に向けて八代深川栄左衛門の深川家の製作によるものです。
ジャポニスムを絵に描いたような製品で、エキゾチシズムを煽る様なテーマではありますが、運筆、細工、多彩な色合いの品質は劣っていません。
碗皿は三川内平戸焼のエッグシエルです。
しかしながら、この様ものでは長続きはしないと言うことで、納富介次郎等によって「温知図録」編纂され図案改良がなされました。
この製品は明治伊万里を語るにあたって、ターニングポイントとなつた製品で資料的価値は高いとおもいます。

【明治伊万里研究所】記

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